縮毛矯正(パーマ)で最も大事な【軟化(アルカリ・膨潤)と還元】の違い・効果・成分・選定を説明。横浜/鶴ヶ峰/美容室/阿武隈川弘

こんにちは

縮毛職人

阿武隈川です。

 

美容師なら誰もが失敗したことのある、縮毛矯正やパーマ。

成功のカギを握るのは【軟化(アルカリ・膨潤)と還元】と言っても過言ではありません。

 

ここでは、化学式や元素記号などの説明はせずに、サロンワーク目線で説明をしていきます。

 

■縮毛矯正(パーマ)がかかるイメージをざっくりと共有する

 

 

とてもざっくりと縮毛矯正(パーマ)の原理を説明しております。

 

今回のテーマである【軟化・還元】は、チョコレートで例える【柔らかくする】ことを、更に詳しく説明することにあたります。

 

■1液(1剤)の役割は【軟化・還元】であり、髪の毛の4つの結合のうち、シスチン結合・イオン結合・水素結合を切断する

 

※ペプチド結合の切断は、稀なケースのため、今回は省略。

髪の毛は4つの結合を持っております。

カラーに比べて縮毛矯正やパーマの方がダメージが大きい理由として、

カラーは2つの結合を切断しますが、

縮毛矯正とパーマでは3つの結合(特にシスチン結合)を切断することによります。

 

軟化とは(アルカリ剤

 

弱酸性である髪の毛のpHを【アルカリ剤】により、pHを高めることでアルカリ性に傾け、毛髪を膨潤させ、【薬剤の浸透と反応を促進】するときに髪が柔らかくなる反応。

 

イメージとしては、

手術(還元)するにあたり体内に到達ための、【メス】(軟化)

 

がわかりやすいかと思います。

メスで髪の毛の外側を切ることにより、髪の毛の内部の栄養部分に縮毛矯正(パーマ)をかけていくイメージ。

当然、メスである軟化には、特にダメージが伴います。

 

■主な軟化剤の種類と特徴

 

【アンモニア】反応早い。臭い強い。髪の毛に残留しづらい。

【モノエタノールアミン】反応遅い。臭い少ない。髪の毛に残留しやすい

などなど。

 

還元とは

もちろん還元とは酸化の逆の反応であるので、酸素分子を失ったり、水素と結合をする反応ですが、もっとわかりやすく説明すると、

髪の毛の結合の、切断。

 

軟化が【メス】に対し、還元は【手術】にあたります。

メス(軟化)により、髪の毛の外側を切る。

 

それにより、髪の毛の栄養部分である内側に到達し、

手術である【還元】をすることで、髪の毛の構造を変え(シスチン結合の切断。2剤である酸化で再結合へ)、髪の毛の形を変えていきます。(当然、還元でもダメージは伴う)

 

■還元剤の選び方の前に、髪の毛をご飯粒で例える

以下、毛髪内部をご飯粒部分(栄養)、毛髪外部をのり部分(キューティクル)

 

■主な還元剤の種類と各特長。チオグリコール酸/システイン/システアミン/チオグリセリン/チオグリコール酸グリセリル(GMT)/ブチロラクトンチオール(スピエラ)/グリオキシル酸

【チオグリコール酸】

主に、アルカリ領域で、毛髪内部付近の親水性領域に作用が得意

【システイン】

主にアルカリ領域で、毛髪外部(キューティクル)付近の親水性領域に作用が得意

 

チオグリセリン

主に中性~アルカリ領域で(アルカリと還元力が比例)、毛髪内部付近の疎水性領域に作用が得意

【システアミン】

主に中性~アルカリ領域で(アルカリと還元力が比例)、毛髪外部(キューティクル)付近の疎水性領域に作用が得意

【チオグリコール酸グリセリル(GMT)】

水と油、どちらにも親和性があり、酸性領域でも作用。

【ブチロラクトンチオール(スピエラ)】

水と油、どちらにも親和性があり、酸性領域でも作用。

【グリオキシル酸】

 

 

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■髪質やダメージに合わせた、還元剤の選び方

 

◆①濡れている状態でクセが出る髪の毛(芯がある、シスチン結合クセ)には
 髪の毛の内側で反応する還元剤を使用

先程の親水性・親油性などは、サロンワークではほぼ関係なく(見極めが出来ない)、

チオ系の還元剤を使用し、商材に含まれるアルカリ量とのバランスが大事。

◆②濡れている状態だとクセが出ない髪の毛(芯がなく、シスチン結合ではないクセ)には、
髪の毛の外側で反応する還元剤を使用

先程の親水性・親油性などは、サロンワークではほぼ関係なく(見極めが出来ない)、

シス・システアミン系の還元剤を使用し、商材に含まれるアルカリ量とのバランスが大事。

◆③軟化を必要としない髪の毛には、酸性領域で反応する還元剤を使用

ダメージの元である、メス(軟化・アルカリ剤)を配合しなくても作用するため、アルカリによるダメージがなくなるが、当然、還元剤によるダメージはある。

酸性領域のため還元の後の酸化が不十分になりやすく、アルカリ膨潤しないため、アイロン操作がとても困難。

(GMTはチオ系の質感、スピエラはシス系の質感のイメージ)

◆【まとめ】①、②(③)の成分を混ぜて、ダブル還元、(トリプル還元)することで、軟化(アルカリ量)を抑えて、髪の毛の内側外側と効果的に還元させることが主流の時代。

 

■薬剤(軟化剤と還元剤の内容成分や配合量)を理解する

例えば、チオグリコール酸はアルカリ領域で効果を最大限発揮しやすくなるため、チオグリコール酸の還元によるダメージはもちろんですが、アルカリによるダメージが起きやすい。

ということが考えられます。

 

■毛髪診断が【軟化・還元】を考えるための土台となる

 

 

■毛髪診断(髪質)に合わせた薬剤(軟化剤・還元剤)を選定することが大事

 

どの還元剤が良い・悪いなどは決して、ない。

まず考えることは、毛髪の強度。

ダメージによって軟化剤であるアルカリ量の成分や配合量の調整

そこでアルカリ剤が決まり、軟化や膨潤が行われます。(もしくはアルカリ剤を使わない)

 

癖の種類によって還元剤の成分と配合量を先程選んだアルカリ剤との調整

を行い、

 

最小限のアルカリ量で軟化・膨潤させ、

最小限の還元剤でシスチン結合の切断を行う

ことがダメージの少ない縮毛矯正(パーマ)のコツになります。

 

毛髪診断や薬剤選定には、知識と経験がかなりの比重を占めて必要になるため、

【薬剤の特性を理屈・感覚(経験)の両方で理解することが1番大事】

になります。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

【縮毛職人】と名高い美容師。髪質に悩む顧客多数。 横浜の鶴ヶ峰 enx トップスタイリスト / (株) enx 代表取締役 / 美容師道場管理人 得意の縮毛矯正を活かしたカットとカラーで、どんな髪質も365日美髪へと必ず導きます。